「めんどくさい」からの脱却
この世の中はめんどうなことで溢れているとつくづく思う。
―会社では苦手な会議の進行をしなくてはいけない
―車検でなけなしの給料から費用を払わなくてはならない
―友達へのLINEの返信。言葉一つで受け取る側の印象が変わるから、気を遣わないといけない
もうすべてがめんどくさい。
よくもまあこの世の中で生きている人々は、これらのめんどくさいことをあたりまえのように乗り越えて、当然のように毎日生きているものだ、とちょっと不思議に思ったりもする。
これで、めんどくさがりな自分を受け入れられるほどポジティブな人間だったらよかったものの、そんなだらしない自分が大嫌いだ。めんどくさがらずに何事もテキパキとこなす人は単純にすごいと思うし、やっぱり人間的な魅力を感じる。
そういう人が輝いて見えるからこそ、自分が何事にも「めんどくさい」という感情を抱いてしまう人間だということを認めたくない。
だから、本当は全然やりたくないことも、やる気があるふりして率先して取り組む。それが偽善だとわかっていても、必要とされない人間になることがとても怖い。
そうやって、いい子ちゃんぶってる人生はとても心身を消耗する。
心が弱っているときは、「もうこんな人生捨てたいな」と思うこともしばしば。
「めんどくさい」という感情に支配されて何をするにもやる気が起きない。
この悩みをどうにか解決したくて、本屋をうろついていた時に偶然出会ったのがこの本。
この本と目があった瞬間「え、私のことじゃん」って手に取らずにはいられなくて、即購入。
家に帰って速攻読破した。”マンガ+解説”の構成でサクサク読めて、めんどくさがり向きだったのがありがたい。
内容としては、
①「行動するのがめんどくさい」
②「人間関係がめんどくさい」
③「何もかもがめんどくさい」
という大きく分けて3つのめんどくさいに関して、原因や対処法について分かりやすく説明されていた。
その中でも特に私が「なるほど~」と思ったのは、『「やらなきゃ」と思わないようにするための2つのステップ』(P68~70)について。
***要約***
ステップ1 自由な心を取り戻す
学校に通い始めると、集団生活を円滑にするために「~してはいけない」「~しなければならない」と言われるようになり、大人になってからもその考えに縛られているが、そもそもこの世の中に「しなきゃいけない」ことなど存在しない。子供のころのような自由な心を取り戻し、”しなければならない→したい”へ変換できれば、選択肢が増えて行き詰まり感がなくなる。
ステップ2 「やらなきゃ」の2つの置き換え
①”やらなきゃ→やる必要ない”への置き換え
(例)「献立を考えるのがめんどくさい」
→「献立を考える必要はない」に置き換え、その理由を書き出す
理由① 献立を提案してくれるサービスの利用
理由② 外食をする
理由③ レシピ本を適当にめくって手にとまったページの料理にする など
②”やらなきゃ→やりたい”への置き換え
(例)「献立を考えるのがめんどくさい」
→「献立を考えたい」に置き換え、その理由を書き出す
理由① 自分の好きなものを食べたい
理由② 家族の健康を維持しているのは自分だと自信を持ちたい
理由③ 家族に喜んでもらいたい など
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ふむふむ。
たしかに私は「~すべきだ」「~しなきゃいけない」が口癖で、いつも何かに追われて余裕がない。特に仕事のときは。
そもそも、仕事はきつくて大変で、やりたくないものもしないといけなくて、「したい」という感情になるものなわけがないと思い込んでいる。
それに、「やらなくていい」という選択肢があることなんて思いつきもしない。
「きっと、同じ考えを持つ人は多くいると思うから、私だけ楽な方に逃げるわけにはいかない。もっと働かなきゃ」と自分に負荷をかけて毎日働いていたが、もしこの考えを「やらなくていい」「したい」に変えることができたら・・・
試しにこのステップ通りに仕事中に生じる「~しなければならない」を「やらなくていい」「~したい」へ変換してみよう。
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「会社案内資料を一から全部作成するのがめんどくさい」
①”やらなきゃ→やる必要ない”への置き換え
「会社案内資料を一から全部作成する必要はない」
理由① 過去に作成されたデータを引用し、現在の業務内容と大きく変更がある点のみ変えればよい
理由② 行き詰ったら上司に相談して内容を一緒に考えてもらえばよい
②”やらなきゃ→やりたい”への置き換え
「会社案内資料を一から全部作成したい」
理由① 上司や同僚から認められたい
理由② 自分が仕事を頑張った証拠を残したい
こんなもんだろうか。
やってみると客観的に自分を捉えることができ、
「やるからには全く新しいオリジナリティのあるものをつくらなきゃいけない」
「私が頼まれたのだから、私一人で成し遂げなければならない」
と必要以上に自分へプレッシャーを与えていたことが分かった。
そうか、「めんどくさい」を引き起こす原因は、私自身が思い込みで作ってしまっていたのか・・・
この本では、最後の章で
「『めんどくさい』を克服するための究極的な方法は『自分に正直に生きる』ということ」(P209)
と紹介している。
誰からも認められる”いい子”でいるためにやりたくないことを請け負って「~しなければならない」に人生を支配されていた。
いつも誰かに何かを「させられている」と思っていたから、こんなにもめんどくさく感じていたのだと分かった。
「めんどくさい」に支配される人生から脱却する光が見えてきた。
この考え方を常駐させるにはまだまだ時間がかかりそうだけど、まずは一歩を踏み出せた自分を認めてあげよう。